ひろい ひろい 大海原の 先の見えない 航路の途中
どこどこゆくの?と、ひとりの少年が問う
すれ違う人みんな 口を揃えてこう言った
「太陽のある方向だよ、光を目指して進んでいるの」
ひとりの少年は、自分には眩しすぎるから、と
みんなが向かう方向とは 真逆の方向へと
さみしいけれども 心細いけれども
ただ、ひたすらに 来る日も来る日も漕ぎ続け
やがて太陽から遠ざかり 辺りは次第に暗くなり
風は止み 誰もいない 静寂の中 少年は疲れ果て目を閉じた
全てが黒に染まったかのように思えた
その瞬間、小さな、小さな光が
優しく温かく柔らかく 少しずつ広がっていくのを感じた
少年は疲れ果てた目を 朧気にそっと開く
「太陽だ…太陽の光があったんだ…」
暗闇に浮かぶ まあるいかたちをした その光は
疲れ果てた少年が寄りかかれるよう かたちを変え
何も言わずにそっと 優しく包み込み 少年はまた目を閉じた
凪よ、運べ。月の光のもとへ。
凪
2022.11.21
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TSUBASA OMORI
2022/11/23 21:57
ターナー色彩スズキ 様
素敵なコメントをありがとうございます。
これじゃなきゃいけない、
というのは一切ないので、
ひとつの作品からひとりひとり異なる
「凪」のストーリーを感じてくれたら幸いです。
ターナー色彩スズキ
2022/11/23 14:41
キャプションひとつとっても物語のようで色々な捉え方ができますね。
それによって作品の見え方が変わるのもおもしろいです。